リーガルチェックは無資格でもできる?
昨日、LPをリリースしたところ「特許事務所に勤めていて法律を知っているなら、リーガルチェックとかも依頼できるんですか?」というご質問をいただきました。
答えは「できません」。
リーガルチェックは弁護士以外の人がサービスとして提供してはいけません。
弁護士や弁理士といった代理人業は有資格者が行う業務です。事務所で長く働いていてさまざまなケースを見聞きし、書類作成補助をしてきたからといって、無資格者が代理人業を行うことはできません。法律によって禁じられているのです。
弁護士法第72条には下記のように定められています。
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
Facebookなど見ていると、時々弁護士法第74条2に抵触するようなことで講座とか勉強会を開催している人がいますが、それは本来無資格でやってはいけません。
第七十四条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
また、特許実用新案出願、意匠出願(デザインの権利を保護したいときに使います)、商標出願などの各種手続きの代行やアドバイス業務を、弁理士ではない者が代価をもらっておこなうことは、弁理士法第75条で禁じられています。
第七十五条 弁理士又は弁理士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許、実用新案、意匠若しくは商標若しくは国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続若しくは特許、実用新案、意匠若しくは商標に関する行政不服審査法の規定による審査請求若しくは裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理(特許料の納付手続についての代理、特許原簿への登録の申請手続についての代理その他の政令で定めるものを除く。)又はこれらの手続に係る事項に関する鑑定若しくは政令で定める書類若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成を業とすることができない。
どんな行為がNGになるの?
こんなものを読んでも何言ってんだかわかんない…ってなりますが、「読んでみたけど分からないからいいことにする!」みたいな判断はしないでくださいね。
例えば無資格者が商標の出願作業を自力でやった時の経験談を、動画で無料配信するのはOKですが、その経験を有料のお茶会や勉強会などでシェアするのはNGです。同じく無資格者が商標権取得の可能性を有償で調査するのもダメです。また、サプリメントの広告が薬機法に抵触しないかどうかの文章チェック(リーガルチェック)を、弁護士でもないのに引き受けて代価をもらうのもNGです。
税理士や公認会計士、行政書士の仕事も同様です。士業と名のつく人たちの業務は、無資格者がサービスとして提供できないように法によって定められています。
これに抵触するような商品やサービスを販売していると、罰則があります(懲役1年とかもある)。
自分の体験や経験から得たノウハウをシェアしたり自分のサービスに取り入れようと検討するとき、各士業の業務にかかわる法律に抵触しないかどうかも今一度確認なさってください。
マネーフォワードのこちらの記事も参考になります。
https://biz.moneyforward.com/contract/basic/222/